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辺利 未来

辺利 未来


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南北戦争は1861年から1865年にかけて行われたが、この小説は南北戦争以前の1830年代を舞台にしている。

ジョージア州のプランテーションに住む15歳の奴隷少女、コーラが主人公。彼女は同じプランテーションの奴隷青年に自由州である北に逃亡しようと誘われる。

当時、奴隷たちの逃亡を助ける秘密組織「地下鉄道」があった。その組織の力を借りて、北に逃げようというのだ。この小説をただ単に歴史小説、記録文学にしなかったのは「地下鉄道」を本物の蒸気機関車、駅、線路、そこに働く人々を逃亡組織に模して描いている点だ。

奴隷の状況は痛ましさを通り越しておぞましい。
彼らはいとも簡単に殺され、子供が生まれれば商品として扱われる。そんなプランテーションから逃亡したコーラだが、奴隷狩り人が追ってくる。

街道には捕えられた逃亡奴隷の死体……腸の中身が飛び出たもの、切り裂かれたもの、男性器を除去されたもの、下腹を抉られた女性……が木の枝にくくりつけられていた。その通りはなんと「自由の道」。

コーラは地下鉄道に乗って逃げる。州を越え、サウス・カロライナに入る。そこでも逃亡者には安住の地ではなかった。黒人の数が増えて、人口比が逆転する恐怖を覚えた白人医師は避妊手術を強制する。

コーラは逃げる。サウス・カロライナからノース・カロライナへ。そこは広場で奴隷の処刑が娯楽として行われていた。そこで彼女は奴隷狩に捕捉されてしまう。

また、逃亡し、インディアナ州へ。
奴隷が置かれる状況はつらく、本を閉じてしまいそうになるほどの衝撃だった。


投稿子が初めてアメリカのディープ・サウスに旅行したのはこの本の時代から約140年前、今から50年ほど前だ。

当時、レストランに入ろうとしたら、入店を断られた。この程度のことを忘れることができないのだが、著者は入店拒否程度なんて心に焼鏝を当てられたようなもの。騒ぐなというだろう。当時、奴隷の所有者は奴隷に所有印として焼鏝を押したのだとある。主人公、コーラの額にもその印が残っている。

ニュー・オリーンズのプランテーションを巡った旅行記は:
http://ikokuno.web.fc2.com/h1003_oakalley_honbun.html


半世紀前、ディープサウスの旅行記は:
http://ikokuno.web.fc2.com/d6901_3lakeland_honbun.html


イギリス、リバプールにある奴隷博物館訪問記は:
http://ikokuno.web.fc2.com/h1708_010liv_mer.html











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