『中国「絶望」家族 一人っ子政策は中国をどう…』メイ・フォン著

2018/ 04/ 27
                 

chugokuzetsubo_1803.jpg


「一人っ子政策は終わったのだから、もう過去の話だ」
ノーだ。国がヒトの欲望を支配した悲劇は終わってはいない。一人っ子政策は中国の人々に深い悲しみを与え続けている。著者は一人っ子ではないから、両親が大陸にいたら生を受けなかったのだろう。

著者は両親が中国からマレーシアに渡った華僑の子で、ウオール・ストリート・ジャーナルの中国支局の記者も経験している。オビに「ピューリッツァー賞受賞記者」とあるのは、この時代の記事のようだ。現在はワシントンDCでシンクタンクの研究員。

投稿子の中国訪問は1992年が最初だった。
この年は2回訪問した。北京では、2路線しかない地下鉄も百貨店も人で溢れていた。昆明や成都では自転車の洪水。ホテルから出ると、物売りに囲まれた。チベットでは空気が薄く失神状態だが、中国共産党はチベットの空気を濃くするまで力を注いでくれないでいた。

蘭州の屋台で、
「麺の丼に指が入って……」
「問題ない。熱くないから」
こんなことはもうないだろうな。

一人っ子政策は1979年から2015年まで実施され、上から下までこの政策の実施に血眼になる。特に、地方自治体は財源を得るために一人っ子政策に反して二人目の子供を生んだ夫婦に対し独自に罰金を付すようになる。これが地方自治体職員のポケットマネーとなって個人的な懐を潤していった。

このほかにも、男が119に対し、女が100という男女比(世界平均は男105に対し、女が100)により、2020年には男性が3000万人から4000万人多くなると予測されている。この結果、結婚できない男性の増加。若者が両親の面倒をみきれずに捨てられる老人たちが増加するのは必死。

そして一人っ子政策に反して生まれた第二子には戸籍が与えれない。これらは闇っ子と呼ばれ、1300万人にものぼる。一人っ子が先になくなれば、残された親は面倒をみてくれる子供がいないために、介護施設に入れず、墓地も買えない。

これこそ毛沢東の負の遺産なのだ。発端は毛沢東が一人っ子政策の導入に揺れていたころ、背中を押したのが人口問題とは関係のないロケット科学者の進言だったというのだから……。

冒頭、本書は2008年の四川大地震の取材から始まる。著者は四川で多くの子供が亡くなった事実を知り、残された親の生き方を追跡していると一人っ子政策との影響に関係を見出す。事実を繋ぎながら、問題を提示してゆく本書は実に深い内容だった。

エヴァン・オズノスの「ネオ・チャイナ」も力作だ。
http://hamidashirakuen.blog36.fc2.com/blog-entry-3889.html


1992年にチベット、ラサを旅行した日記は:
http://ikokuno.web.fc2.com/d9209_lasa_daisho_honbun.html




関連記事
スポンサーサイト
                 

コメント