「偽りのレベッカ」 アンナ・スヌクストラ著…背筋が凍るサイコぶり

辺利 未来


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オーストラリアが舞台です。
家出をした自称27歳の女性、「私」はホームレス。
スーパーマーケットでパンやチーズを万引きして捕まってしまう。取調べで、「私」は11年前に失踪した少女、レベッカだとなりすましてしまう。

ほんの些細な出来心で万引きをし、挙句の果てに頭の片隅にあった他人の名前を名乗ったことが、思わぬ方向に向ってゆきます。なんと、レベッカの両親や双子の兄弟は彼女をレベッカ本人として家に受け入れ、暮らし始めるのです。

物語は現在の「私」の視点と11年前のレベッカの3人称の視点で展開されます。
題名が「偽りのレベッカ」と成りすましをテーマとした小説だと、あらかじめ設定しているので、いかに「私」がレベッカに成りすまのか? ばれるのかが焦点となっています。

11年前のレベッカはごく普通の少女。マクドナルドでアルバイトをして、親友、リジーとお茶目な遊びをしたり、恋心を抱く青年もいる多感な少女だった。両親もレベッカを笑顔で育てている情景が描かれます。

「私」はそんなレベッカの家庭に入り、当時の様子が分からないので、記憶喪失を装ってすごしている。11年前のレベッカを想像し、振舞う辛さを抱えながら。そんなレベッカに、両親や双子の兄弟も優しくしてくれるが……読んでいると、背筋に刃を当てられたように、ひんやりとしたものを感じてしまう。

やがて、物語は現在に合体し、真相が明らかになる。

成りすましが成功するか? 家族は成りすましとわかっていそうなのに、なぜ警察署に通報しないのか? 不気味感とスリル感を増幅させながら最後まで引っ張ってゆくのが見事だ。

新人作家だそうだが、人物の描写や構成など、並ではない才能が光っている。

海外の小説読書日記(132回アップ)は:
http://hamidashirakuen.blog36.fc2.com/blog-category-72.html


オーストラリア旅行記は:
http://ikokuno.web.fc2.com/h0009_sydneyolympic_honbun.html







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