「そしてミランダを殺す」 ピーター・スワンソン著

ロンドン、ヒースロー国際空港のビジネスクラス・ラウンジで、アメリカ人の若き実業家がアメリカ女性に軽い挨拶をしたのがきっかけで話が弾みます。
実業家はジョークで「機内で、殺人計画をたてる」と言ってしまった。二人は偶然にも、同じ便。ボストン行きの機内で、女性は実業家と彼の妻の殺人計画を練り始めるのだった。
小説は、3部で構成されていて、
第1部は計画が動き出す背景として、ヒースロー国際空港で知り合ったアメリカ女性のこれまでの生活を一人称で描き、女性の過去が浮き出させます。
第2部は邸宅を建築するために陣頭指揮を執る実業家の妻の行動を実業家の目、アメリカ人女性の目から一人称で描いています。
第3部は、殺人のあとのアメリカ人女性の心のうち、初めて登場するボストン市警の刑事の一人称で展開。
それそれの章にノワールな不気味さが漂い、きめ細かに張り巡らされた仕掛けが施されている。1部、2部と仕掛けられた種が円環のように連結し、3部で完結する。実に緻密なミステリだ。
充実感を味わえる読書だった。
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