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辺利 未来

辺利 未来


クロアチアのスプリットからヴィス島へ行くフェリーボートのなかは世界中からやってきた観光客の華やかでウキウキした雰囲気が漂っています。ヴィス島といえば、アドリア海にある美しい島。青い洞窟や水の青さで有名です。

そんななかで私は出発前に成田国際空港の本屋で求めた「絶望名人カフカの人生論」に読みふけっていました。

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カフカは書きます。
「ずいぶん遠くまで歩きました。
 五時間ほど、ひとりで。
 それでも孤独さが足りない。
 まったくひと通りのない谷間なのですが、
 それでもさびしさが足りない。
 ――フェリーツェへの手紙」

著者は、これを「解離性遁走」と解説します。
「苦悩で心が壊れそうになったときには、記憶を失って、遠くに旅立ってしまう心の病もあるくらいです。そんなとき人は、孤独を求めます。寂しさもかえって、心が安まります」

ページをめくると、
「ぼくは人生に必要な能力を、
 なにひとつ備えておらず、
 ただ人間的な弱みしかもっていない。
 ――八つ折り版ノート」

本をテーブルに置きます。
私は何から逃れているのか。なぜ孤独を求めているのか。
ペットボトルのキャップをあけ、水を一口飲みます。
やっぱり、浮ついた観光客の輪の中に入りたい衝動に突き動かされるのです。深く考えるのは苦手だ。騒いでいる人たちの中には入れないが、近くでみているだけで楽しい。羨ましそうに。 

カフカは続けます。
「実際ぼくは、人と交際するということから、見放されていると思っています……」
著者の解説から「シャイと社交性は、まったく独立した、別の性質であることがわかっています」というくだりを読むと、人といっしょにいたくないのに、観光客のなかにまぎれ、笑顔で会話を楽しむのもアリだと理解しました。

著者の解説は続きます。
「悲しいときには悲しい音楽を聴いてからこそ、明るい音楽を聴くと、自然と明るい気分になれる」

含蓄を含んだ価値ある一冊です。

海外旅行記は、HP「海外を旅してみたら、こうだった!」にアップしています。
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