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辺利 未来

辺利 未来


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北町貫多が登場する話は多く書かれているが、斬新な小説となっている。
泥臭く、華やかさはないのだが、のめり込んでゆくのは貫多の内面が徹底的に描かれているからだ。

3編が収録されているが、3編とも読み応えがあって、西村賢太の飛躍を感じさせる一冊となっている。作者が成長してゆく過程を見ているようで、実に清清しい読書となった。

収録されているのは、北町貫多が25歳くらいのころ、彼女ができても別れざるを得なかった時期の小説だ。貫多には秋恵という彼女がいたが、その前の女性だ。

日雇いの現場で知り合った2歳下の佳穂とつきあうようになり、仲良く映画を見たり、共に食事をするような仲になったのだが、貫多の短気によって二人の仲は破綻する。

貫多が佳穂を殴り、前歯を折ってしまい狼狽する場面の緊張感は生半可ではない。その後、女性の両親の前でダメ男ぶりを発揮する場面も、男のクズさを徹底的に描いていて、作者の力量に参りましたとため息をつく思いだ。

冒頭の「寿司乞食」から「夜更けの川に落葉は流れて」に向って、小説を読む楽しさを感じ、ラストの「青痰麺」でこれまでの西村賢太から別の作家になったようなできばえだ。

貫多は読者自身だと言っている。
これまでの無様な生き様を潔く天下にさらす見世物ではなく、作者がこれは文学だと背を伸ばして立っているような気がした小説だった。

西村賢太の読書日記(12回)は:
http://hamidashirakuen.blog36.fc2.com/blog-category-121.html


海外旅行記は、HP「海外を旅してみたら、こうだった!」にアップしています。
http://ikokuno.web.fc2.com/



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